2.「心筋梗塞はどんな病気?」
私たちの心臓は体内で一番の働き者です。24時間休むことなく全身に血液を運ぶためのポンプとして、1日に約10万回も収縮と拡張を繰り返しています。体内の臓器は血液が運んできてくれる酸素と栄養が必須であり、まさに心臓は命の大黒柱です。
そんな心臓自体も当たり前ですが、酸素と栄養が必要です。心臓の筋肉である心筋に血液を送るのは冠動脈の仕事です。冠動脈は、直径がわずか2〜4mmの血管で、太い枝は3本しかありませんが、心筋に酸素と栄養を送る大切な血管です。
心筋梗塞はこの冠動脈が完全に詰まって、心筋への血液がストップする病気です。その結果、心筋への酸素と栄養も途絶えることになり、心筋の細胞は壊れはじめ、心筋梗塞になります。
血管内視鏡で直接冠動脈の中を観察すると、プラークが黄色に、血栓が白色+赤色で綿様の可動性のあるものとして見られます。キラキラと輝いているものは、プラークの中にあったコレステロールの結晶と考えられています。
血栓ができ始めてから冠動脈が完全に詰まるまでに要する時間は、約半数の患者さんでは24時間以内ですが、残りの約半数の患者さんでは数日〜数週間かかります。完全につまる前の「詰まりかけ」の時に、持続時間が短くて、比較的軽い症状の、胸痛や胸部圧迫感、絞扼(こうやく)感等の症状が出ることがあり、これが「心筋梗塞の前兆」です。
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